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否したが、MTV側はカリーの自己負担でインターネットにアドレスを設けることはかまわないとの見解を示したという。しかし、去る4月、カリーがMTVを辞めた後、MTV側はかかる許可を与えたことも否定し、’mtv’というドメイン名使用権に関し、カリーを訴えた(民事訴訟94 Civ.3271)。MTVは、Kaplan−Princeton Review 訴訟と同じく、伝統的な登録商標侵害を主張し、加えて登録商標の実質的価値の低下も問題にした。さらに、MTVはカリーの行為がMTVとの雇用協定に違反するとの見解をもっていたため、契約違反、法人機会の奪取、背任を申し立てた。一方、カリーはその申し立てを否定、逆にMTVを相手どり反訴し、契約違反、詐欺、怠慢による不実表示、不公正競争を訴えた。以上の反訴の論拠は、カリーがMTVのドメイン名’mtv.com’使用許可を信頼して相当な時間と金銭を費やしたというものであった。同年10月、地方裁判所は、MTVの提出した反訴却下命令申請を棄却した。しかしながら、その後MTVとカリーは和解した様子である。」

 

(2)著作権の問題

●ホームページの私的複製等著作権問題の解決を図るべきではないか。

?@電子商取引に関連する著作権問題としては、(1)Person to Person、メーリングリスト、電子掲示板など様々な形態による送信と著作権法上の「放送権」、「有線放送権」等の関係の整理、(2)これらの権利における“公衆”の概念の整理、(3)取引行為を媒介したネットワークプロバイダーの民事責任の問題など、実務に即して整理すべき課題が多く残されているが、これら問題については、国際的にはWIPO(世界知的所有権機構)、国内では関連する11団体が組織した検討委員会等で議論されており、これらの成果も踏まえた対応が期待される。

ここでは、特に市場参入/宣伝広告という観点から、宣伝用のホームページに関する私的複製の問題を取り上げることとする。

 

?Aインターネットを利用した場合には、ネットワーク上におけるWWWサーバにあるホームページを次々に世界中から検索することが可能となる。ホームページに含まれるテキストデータ部分及びグラフィックス部分は、それぞれ言語の著作物、美術の著作物、ないし写真の著作物等に該当し著作権の対象となりうる。これらの著作物が、クライアント側のプラウサー等のソフトにより各ユーザーの端末のメモリーに瞬間的に蓄積されることによってディスプレイ上に表示することができるが、当然それらの著作権者の意思とは関係なく自由自在に

 

 

 

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